法林岳之の「週刊モバイルCATCH UP」

USB-C採用や軽量化で生まれ変わった「iPhone 15」シリーズはどれを買う? ちょっと待ち? 旧モデル? それとも?

 9月13日(日本時間)に発表されたアップルの「iPhone 15」シリーズは、9月22日から国内でも販売が開始された。

アップル「iPhone 15」、約147.6mm(高さ)×71.6mm(幅)×7.80mm(厚さ)、約171g(重量)、ブルー(写真)、ブラック、グリーン、イエロー、ピンクをラインアップ

  昨年に引き続き、画面サイズやチップセットが異なるスタンダードモデルとProモデルを2台ずつで構成する4モデルがラインアップされたが、今年はUSB C採用をはじめ、ハードウェアの仕様も大きな変更が加えられた。

 本誌ではすでに発表時の速報記事をはじめ、白根雅彦氏の連載「iPhone駆け込み寺」などでも詳細な情報が伝えられているが、今回はiPhone 15シリーズ各機種の違いなどを踏まえながら、どれを選ぶのか、今後の展開をどう見通すのかなど、筆者からの見たインプレッションをお送りしよう。

いつも選んでいるiPhoneだけど……

 今年は国内で携帯電話やスマートフォンを展開してきた端末メーカーが撤退を表明したり、経営破綻によって、事業継続が難しくなったりするなど、国内市場が大きく揺れ動いた一年だと言われる。

 そんな国内市場において、半数近いシェアを確保し、常に安定した人気を保ち続けているのがアップルのiPhoneだ。

 iPhoneはアップル自らプラットフォームとハードウェアを手がけているため、統一された世界観で構成されており、優れたユーザビリティを実現している。さまざまな端末メーカーが端末を縦向きや横向きに折りたためるようにしたり、カメラにデジタルカメラ並みのイメージセンサーを搭載したり、数十分でフル充電ができる端末を開発するなど、個性豊かなモデルがラインアップされるAndroidプラットフォームとは、大きく異なる点だ。

 そんなiPhoneを使い続けている人たちに、どうしてiPhoneを選んだのかを聞いてみると、「はじめてのスマートフォンがiPhoneだったから」「周りがiPhoneだから」という声がよく聞かれる。「最初の頃にAndroidスマートフォンを使ったら、たいへんだった」という意見も耳にする。

 続いて、「今、使っているiPhoneはどの機種?」と聞いてみると、即座に「iPhone 13 Proです」と答える人も居れば、なかには「えっと、12かな」「Proだけど、いくつだったっけ?」と頼りない答えが返ってくることも少なくない。

 もちろん、それはそれで別に悪いことではない。その人たちにとっては、どのiPhoneを使っているのかが大事なのではなく、「iPhoneであること」が重要で、それだけiPhoneが自分の生活に密着した『道具』になっていることを表わしている。

 こうした人たちにとって、新しいiPhone 15シリーズが発売されることはニュースで目にしたり、耳にするものの、実際に買うかどうかはまた別の話でしかない。自分のiPhoneが壊れるか、気に入らなくなるか、新しいiPhoneが欲しくなる理由が見つけられるかどうかで判断することになりそうだ。

人気モデルであるがゆえの難しさ

 国内市場において、半数近いシェアを持つアップルのiPhoneだが、これまで本連載で何度となく触れてきたように、ここ数年は少し風向きが変わりつつある。

 ひとつは端末購入補助が制限されたことで、新しい端末が買いにくくなったことが挙げられる。それと同じタイミングで、iPhoneそのものも価格が高騰し、10万円から20万円を超えるモデルがずらりと並ぶことになった影響も大きい。

 もちろん、そこにはコロナ禍による混乱をはじめ、半導体供給不足や急激な為替レートの変化、物流コストの高騰、ロシアによるウクライナ侵攻など、さまざまな要因が関係しているが、それ以前にアップル自身が数年前から、全体的に高付加価値高価格路線を突き進んでいることが主な要因だ。

 別の要因として、これまでのライバルメーカーに加え、Androidプラットフォームを開発するGoogleによる「Pixel」シリーズが急速に認知されてきたことも大きい。「Pixel」シリーズそのものは5年前から国内に展開されているが、ここ数年のモデルでは「消しゴムマジック」「リアルタイム翻訳」など、ユーザーにわかりやすい機能を搭載しながら、手頃な価格のモデルもラインアップを加え、着実に支持を拡げている。

 そして、iPhoneが人気モデルであるがゆえの難しさも見え隠れする。確かに、iPhoneは優れたユーザビリティを実現しているが、ここ数年を振り返ってみると、コロナ禍でマスク着用が必須となっている中でもFaceIDに固執し続け、iPhoneのナンバリングシリーズでは頑なに指紋認証を採用せず、マスク着用時にロックが解除できないなどの不満が生まれた。

 その後、Apple Watchとの連携やマスク着用時の画面ロック解除対応などの改善が図られたが、実装に時間がかかったのも事実だ。

 また、Proモデルは端末が重く、扱いにくいという不満が多く聞かれた。

 ステンレスフレームと前後面のガラス仕上げにより、iPhone 14 Pro Maxは一般的なスレート状の端末でありながら、240gというヘビー級で、ひと回り小さいiPhone 14 Proもボディサイズから考えると、かなり重い206gとなっていた。

 カメラについてもAppleが注力してきたことをアピールするものの、他製品のような高倍率の光学ズームや暗所撮影への対応が遅れ、ライバル製品との差が目につくようになってきた。

 こうしたiPhoneに対する不満は、iPhoneが世界中で人気のモデルであるがゆえ、なかなか変革を起こせなかったことが挙げられる。その一方で、国内外のライバルメーカーに目を向けると、デザインや形状、機能など、さまざまな面において、新しい取り組みをスタートさせており、製品としての楽しさやフレッシュさについても急激な追い上げを見せている。

iPhone 14シリーズを継承したiPhone 15シリーズのラインアップ

 今回発売されたiPhone 15シリーズは、昨年のiPhone 14シリーズに引き続き、4機種がラインアップされた。

アップル「iPhone 15 Plus」、約160.9mm(高さ)×77.8mm(幅)×7.80mm(厚さ)、約201g(重量)、ブルー(写真)、ブラック、グリーン、イエロー、ピンクをラインアップ

 昨年のiPhone 14シリーズでは2020年の「iPhone 12 mini」にはじまったコンパクトな『mini』がなくなり、代わりに大画面の「iPhone 14 Plus」が登場した。「iPhone 14 Plus」は発売が少し遅れた影響もあり、国内ではあまり注目されなかったが、コンテンツなどを大画面で楽しめる『Plus』は一定の支持を得ており、iPhone15シリーズでも継承された形だ。

 miniについては併売されていた旧モデルからも「iPhone 13 mini」が削除されたため、iPhone 15シリーズ発表前後は一部のショップに「iPhone 13 mini」の駆け込み需要があったという。もしかすると、次期iPhone SEなどの形で『mini』のデザインは復活するかもしれないが……。

 iPhone 15シリーズは昨年のiPhone 14シリーズ同様、本体の仕様の違いにより、スタンダードな「iPhone 15」と「iPhone 15 Plus」、プロフェッショナルユースにも応えられる「iPhone 15 Pro」と「iPhone 15 Pro Max」という2つのグループに分けられる。

アップル「iPhone 15 Pro」、約146.6mm(高さ)×70.6mm(幅)×8.25mm(厚さ)、約187g(重量)、ブルーチタニウム(写真)、ブラックチタニウム、ホワイトチタニウム、ナチュラルチタニウムをラインアップ

 iPhone 13シリーズまではラインアップを構成する4つのモデルのチップセットも共通で、ハードウェアの違いはディスプレイやカメラなどに限られていたが、昨年のiPhone 14シリーズからは、スタンダードモデルは前年のProモデルをベースに構成し、Proモデルは最新のチップセットを搭載することで差別化を図っている。

アップル「iPhone 15 Pro Max」、約159.9mm(高さ)×76.7mm(幅)×8.25mm(厚さ)、約221g(重量)、ナチュラルチタニウム(写真)、ブラックチタニウム、ホワイトチタニウム、ブルーチタニウムをラインアップ

 アップルとしては高騰する端末価格を裏付ける意味合いからも2つのモデル群をより明確に分けようとしているが、幅広いユーザーが納得できる違いになっているかどうかは微妙だ。これまでは何となく「上位のProモデルを買っておけば……」と受け入れられていたかもしれないが、iPhone 15シリーズでも同じようにユーザーが選んでくれるだろうか。

割高感は今回も

 ちなみに、価格については、アップルと携帯電話会社4社で差があるが、アップルでの販売価格については、前年のiPhone 14シリーズに比べ、スタンダードモデルが5000円増、Proモデルが1万円増となっている。

 この価格差は昨今の急激な円安や半導体不足、材料費や物流コスト増を鑑みれば、『価格高騰を抑えた』と言えそうだが、そもそもの話として、昨年のiPhone 14シリーズや一昨年のiPhone 13シリーズはいずれも発表時に「高い」「高すぎる」と表されていたので、今回の価格増が5000円差や1万円差であっても割高感は否めない。

外部接続端子をUSB Type-Cに変更

 今回のiPhone 15シリーズは、スタンダードモデルとProモデルで共通して、従来モデルから変更された仕様がある。なかでも本体の外部接続端子をUSB Type-Cに変更したことが注目を集めている。

「iPhone 15」の本体下部に備えられた外部接続端子は「USB-C USB 2」(USB Type-C/USB 2.0)を採用
「iPhone 15 Plus」の本体下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。一見、端子のサイズ感は変わらないように見えるが、Lightning端子よりも端子部分は厚い

 iPhoneの外部接続端子は、当初、iPodと共通のDock端子が採用され、2012年発売の「iPhone 5」からLightning端子に変更。その後、「iPad(第4世代)」や「iPad mini」などにも採用され、アップルのモバイルデバイスの標準的な外部接続端子として、拡がった。

 アップルがDock端子からLightning端子に変更した背景には、端子の表裏を意識する必要なないうえ、端子そのものも小さいため、端末のスリム化などに寄与できるというメリットがあった。同時に、市販の互換ケーブルや充電アダプタを使い、充電中の発火などの事故が起きていたこともあり、Lightning端子には「MFi認証(Made For iPhone)」を求め、認証された製品のみで利用できるなどの制限をかけていた。

 USB Type-Cについては、すでにAndroidスマートフォンやパソコンなどで広く採用されている事実上の業界標準規格となっているが、アップルも2018年発売の「iPad Pro」から順次、iPadを中心に採用をはじめており、今回のiPhone 15シリーズで、いよいよ主力製品のiPhoneにも採用を拡大することになった。もっともUSB Type-Cへの切り替えが遅すぎるという声もあり、アップルがクローズドな環境を重視するあまり、市場のニーズへの対応が遅いという指摘も数多く聞かれる。

 アップルがiPhoneの外部接続端子にUSB Type-Cを採用した背景には、EU(欧州連合)で定められた「充電端子をUSB TYpe-Cに統一する」という方針が大きく影響しているが、実は後述するように、iPhoneはProモデルを中心に、動画撮影などのプロユースの拡大を狙っており、Lightning端子のデータ伝送速度が遅いというデメリットをカバーする狙いもある。

外部接続端子は従来の「iPhone 14」(右)のLightning端子から、「iPhone 15」(左)のUSB Type-Cに変更された。写真ではコネクターの厚みの違いがわかるが、両方の端末が置いてあると、間違えて、別の端子を挿しそうになる

USB Type-Cでもトラブル報告

 すでに、他のアップル製品でUSB Type-Cを採用してきた実績もあるため、iPhone 15シリーズでの採用は特に問題は起きないと予想されていたが、実際には市販のモバイルバッテリーを接続すると、iPhoneが充電されるのではなく、モバイルバッテリーが充電されてしまうなど、製品によってはいくつかトラブルが報告されている。

 今後、iPhone 15シリーズが拡大していくことで、スマートフォン関連商品の動作も改善されていく見込みだが、アップル製品についてはワイヤレスイヤホンの「Air Pods」の従来モデルをはじめ、Lightning端子が多くの製品に採用されているため、iPhone 15シリーズに乗り換えたユーザーがいきなりLightnigケーブルを廃棄できるような状況にはない。

スタンダードとProで異なるUSBの仕様

 また、iPhone 15シリーズは4機種ともUSB Type-C外部接続端子を採用しているが、スタンダードモデルとProモデルではUSBの仕様が異なる。

「iPhone 15 Pro」の本体下部にはUSB Type-C外部接続端子を備える。「iPhone 15」「iPhone 15 Plus」と違い、USB 3対応(USB 3.1(Gen2))なので、本体で撮影した写真や画像はパソコンなどに最大10Gbpsで転送可能。ただし、対応ケーブルも必要

 スペック表ではスタンダードモデルが「USB-C USB 2に対応」、Proモデルが「USB-C USB 3に対応」とそれぞれ表記される。「USB-C」という表記はパソコンやAndroidスマートフォンなどでも見かけるが、バージョンについては「USB 2.0」や「USB 3.2」といった小数点以下を加えた表記が一般的だ。

 Proモデルは転送速度の仕様から、おそらく「USB 3.1(Gen2)」だと推察されるが、人によっては表記の簡略化に違和感を覚えるかもしれない。

外部接続端子は「iPhone 15 Pro Max」(左)のUSB Type-Cを採用。従来の「iPhone 14 Pro Max」のLightning端子に比べ、少しコネクター部分が厚くなった。間違えて挿すことはないが、挿してしまいそうになる
「iPhone 15 Pro Max」の本体下部に備えられたUSB Type-C外部接続端子は、「iPhone 15」「iPhone 15 Plus」と違い、USB 3対応(USB 3.1(Gen2))。対応ケーブルで接続すれば、本体で撮影した写真や画像はパソコンなどに最大10Gbpsで転送可能

手当たりが良くなったボディ

 ボディについてはProモデルとスタンダードモデルのそれぞれを後述するが、共通した仕様としては、本体背面の角が面取りされ、手当たりが良くなったことが挙げられる。

 最近では多くのスマートフォンが背面の両側端をわずかにカーブさせる形状に仕上げているが、iPhoneは側面にフラットなバンドを巻く構造を採用しているため、従来モデルでは手に持ったとき、やや角が立つような印象があった。アップルとしては面取りによって、手にしたときの印象を良くすることを狙ったわけだ。ただ、多くのユーザーは背面にケースを装着して利用するため、それほど実感できないかもしれないが……。

「iPhone 15 Plus」はカラーインフューズドガラスにより、マット仕上げに。ブラック以外はいずれも淡いカラーリング
「iPhone 15 Pro」の背面は従来モデルに続き、高強度のテクスチャードマットガラスを採用
「iPhone 15 Pro Max」の背面は従来モデルに引き続き、テクスチャードマットガラスをサイトでマットな仕上がり。アップルのロゴ部分は光沢

カメラは4機種とも「24MP」モードが標準に

 カメラについては、スタンダードモデルとProモデルでそれぞれ仕様が異なるが、4機種とも4800万画素のイメージセンサーを採用したメインカメラを搭載しており、これを活かした「12MP」と「24MP」の2つの写真モードが用意されている。

「iPhone 15」の背面には従来と同じレイアウトのデュアルカメラが備えられるが、メインカメラは4800万画素のイメージセンサーが採用され、48MPと24MPでの撮影が可能

 「4800万画素なのに、24MP(2400万画素)なの?」と考えるかもしれないが、メインカメラで撮影するとき、4つの画素を1つにまとめて、より多くの光を取り込むピクセルビニングを有効にして撮りながら(1200万画素を生成)、4800万画素をフルに活かした写真も撮り、それぞれを合成することで、24MP(2400万画素)の写真を生成している。

「iPhone 15 Plus」背面のデュアルカメラは従来モデルと同じ対角レイアウト。メインカメラは4800万画素のイメージセンサーに変更され、暗いところでも撮影も強化された

 ただし、暗いところでの撮影やナイトモードが有効になっているときは、ピクセルビニングを有効にした写真のみが生成されるため、12MP(1200万画素)の写真が保存される。

 従来は4800万画素のイメージセンサーを採用したProモデルでも常に1200万画素の写真のみが生成されていたが、今回は4機種とも「24MP」モードが標準設定になっており、少し高画質な写真を撮ることができるわけだ。

 ちなみに、「12MP」と「24MP」の写真モードは[カメラ]アプリ内ではなく、[設定]アプリの[カメラ]-[写真モード]で設定する。

生まれ変わったProモデル

 続いて、Proモデルとスタンダードモデルについて、それぞれの違いや実際に試用した印象などをお伝えしよう。製品の詳しい仕様については、本誌の各記事などをご参照いただきたい。

 まず、今回のiPhone 15シリーズで、USB Type-C外部接続端子と並んで、大きく変わったのがProモデルのボディだ。

「iPhone 15 Pro」(左)と「iPhone 14 Pro」(右)の背面。従来は側面のバンド部分が目立っていたが、今回は背面の角の面取り仕上げによって一体化され、より美しい仕上げになった

 iPhone 14シリーズまでのProモデルは、本体の耐久性などを考慮し、ステンレススチールによるフレームを採用してきたが、その代償として、「iPhone 12 Pro」で187gだった重量は、「iPhone 13 Pro」で203g、「iPhone 14 Pro」で206gと着実に増加していった。

 大画面ディスプレイを搭載する「Pro Max」では、「iPhone 11 Pro Max」と「iPhone 12 Pro Max」で226g、「iPhone 13 Pro Max」で236g、「iPhone 14 Pro Max」で240gと、かなりのヘビー級に育ってしまっていた。

 昨年のiPhone 14シリーズのレビューでは「常に持ち歩くデバイスとしては、重量も重要な『スペック』のひとつであり、もう少し軽量化を検討して欲しい」と書いたが、ようやく今回の「iPhone 15 Pro」と「iPhone 15 Pro Max」では大幅な軽量化を果たすことができた。

 iPhone 15シリーズのProモデルは、アップルの発表会や現在の広告などでもアピールされているように、ボディを構成する部品として、従来のステンレススチールに代わり、チタン合金が採用されている。

 ただし、正確に表現すると、本体内部のフレーム部分がステンレススチールからアルミニウムに変更し、本体側面の周囲をチタン合金のバンドで巻く構造を採用している。一部で「チタンフレーム」といった表現の記事が散見されるが、チタン合金を採用しているのはバンド部分であり、軽量化に寄与したフレームはアルミニウムというのが正解だ。

 実際の重量としては、従来モデルと比較して、「iPhone 15 Pro」で18g、「iPhone 15 Pro Max」で20gの軽量化を実現している。このボディサイズの端末で、10%前後の軽量化をすれば、手にしたときにもすぐにわかる程度の違いがあり、重量感は同程度のボディの他のスマートフォンとあまり変わらないレベルに抑えられている。

 チタン合金についてはApple Watch Ultraシリーズにも採用されるなど、腕時計のケースなどにも採用されることが多い。チタンケースの腕時計を使ったことがある人なら、おそらくイメージできるだろうが、チタン合金を採用した製品は、表面の仕上げによっては、指先の汚れなどが微妙に表面に残り、目立ってしまうこともあるため、実機を見たうえでカラーを選ぶことをおすすめしたい。

「iPhone 15 Pro Max」に「MagSafe対応ファインウーブンケース」を装着したところ。iPhone 15シリーズから純正品のレザーケースはなくなり、ファインウーブンケース、シリコンケース、クリアケースが販売される
「iPhone 15 Pro Max」に「MagSafe対応iPhoneファインウーブンウォレット」を装着。使いはじめは固定する場所に戸惑う。「iPhone 15」「iPhone 15 Plus」「iPhone 15 Pro」にも同じものが装着可能

手にしたときのバランスは

 もうひとつ気になったのは、本体の重さのバランスだ。

 特に「iPhone 15 Pro Max」はボディが長く、カメラ部にテトラプリズムなどの複雑な機構を組み込んでいるからか、端末を持つ位置によっては、本体の上部側が重く感じられる。

 落としてしまうようなアンバランスさではないが、これまでのiPhoneの持ちやすさから考えると、ちょっと気になる点だ。

従来モデルと変わらない外寸

 ボディの大きさについては、フレームやバンド、背面の面取りなどの仕上げが変わったこともあり、両機種共、従来モデルと比較して、高さや幅で約1mm前後のマイナスとなっている。

 厚さは0.4mm増だが、実用上はほぼ誤差レベルと言えそうだ。

「iPhone 15」(左)と「iPhone 14」(右)の前面。ボディの幅や高さはほとんど変わらない
「iPhone 15」(左)と「iPhone 14」(右)のエッジ部分の比較。「iPhone 15」の方が背面の角が丸くなっている。高さが違うのは「iPhone 14」に市販の保護ガラスを貼っているため

 従来モデルと比較して、外寸がほとんど変わらないが、ケースについては本体左側面の着信/消音スイッチがアクションボタンに変更されたため、流用できないと考えた方がいいだろう。アップル純正のケースでも試してみたが、装着できても内側にわずかに遊びがあり、安心して使えない印象だった。

「iPhone 15」(左上)は「iPhone 14」(右下)に比べ、背面のエッジ部分の角が面取りされ、手当たりが改善されている

Proモデルに「アクションボタン」

 Proモデルで、もうひとつ大きく変わったのが左側面に備えられたアクションボタンだ。これまでの着信/消音スイッチは、iPhone 3Gから採用されてきたもので、国内で言うところのマナーモードの切り替えスイッチのような存在だが、これを単純に押下するだけのボタンに変更している。

「iPhone 15 Pro」と「iPhone 15 Pro Max」の左側面には、着信/消音スイッチに代わり、アクションボタンが装備された。アクションボタンの動作は[設定]アプリ内の[アクションボタン]で設定が可能

 短く押すと、現在の状態が楕円型パンチホールのDynamic Islandに表示され、長押しすると、消音と鳴動を切り替えることができる。

「iPhone 15 Pro」(上)のアクションボタンは、「iPhone 14 Pro」(下)の着信/消音スイッチとほぼ同じ位置に備えられる

 また、[設定]の[アクションボタン]を選ぶと、消音モードのほかに、集中モードやカメラ、フラッシュライト、ボイスメモなどを起動するようにも設定でき、カメラについては「写真」を表示したり、「セルフィー」「ビデオ」「ポートレート」などの撮影モードで起動することも可能だ。

「iPhone 15 Pro Max」の左側面には、新たに採用されたアクションボタン、分割式の音量キー、ピンで取り出すタイプのSIMカードスロットが並ぶ。ナチュラルチタニウムは手の跡などが目立ちやすい
「iPhone 15 Pro Max」の右側面には電源ボタンを装備。カメラ部の突起は「iPhone 15 Pro」と同様で、実測で約3.8mm程度

 さらに、「ショートカット」を選べば、よく使うショートカットを実行できるほか、特定のアプリを起動することもできる。各携帯電話会社などが提供するキャッシュレス決済やポイントサービスなどのアプリを割り当てておくと便利だろう。

Proモデルのカメラ

 カメラについては基本的に従来モデルの仕様を継承しているが、「iPhone 15 Pro Max」の望遠カメラは、120mm相当の光学5倍に進化した。「iPhone 15 Pro」は従来通り、77mm相当の光学3倍となっている。

「iPhone 15 Pro Max」はトリプルカメラを搭載。望遠は「iPhone 15 Pro」の光学3倍に対し、テトラプリズムにより、光学5倍での撮影が可能

 「iPhone 15 Pro Max」の光学5倍の望遠カメラは、「テトラプリズム」と呼ばれる機構によって実現されるもので、カメラ部の厚みを抑えながら、望遠での撮影を可能にしている。

 今回は夜景などを中心に撮影したが、人物も含め、きれいに撮影することができた。

 ただ、光学5倍を超え、デジタルズームを組み合わせたときの写真は、思ったほどの仕上がりではなかった。ライバルメーカーがアピールすることが多い「月」の撮影も試してみたが、残念ながら、月と判別できるような写真は撮れなかった。

「iPhone 15 Pro Max」でポートレートで撮影したものをポートレートをオフで保存
[写真]アプリで表示し、[編集]を選ぶと、背景のボケを調整したり、ピントを合わせる位置を変更できる

 また、カメラについては、新たに24mm/28mm/35mmという3つの焦点距離を切り替える機能が追加された。

 カメラアプリ起動時、[1x]のアイコンをタップすると、「28MM」「35MM」「24MM」と表示が切り替わり、画角や背景のボケ具合が違った写真を撮ることができる。カメラに詳しくない人にとっては、あまりピンと来ないかもしれないが、3つの焦点距離で写真の印象が少しずつ変わってくるので、いろいろなシーンで試してみると、写真の楽しみが拡がるかもしれない。

「iPhone 15 Pro Max」の[24MM]で夜景を撮影
「iPhone 15 Pro Max」の[28MM]で夜景を撮影。[24MM]と同じ解像度ながら、少し寄った写真が撮れる
「iPhone 15 Pro Max」の[35MM]で夜景を撮影。さらに画角を狭めて撮っているが、夜景の解像感はあまり変わらない

 撮影した写真の処理については、ポートレートでの背景のボケの調整をはじめ、同じ編集や設定をコピーして、他の写真に適用できるようにするなど、新しい機能も搭載されているが、ライバル製品で好評を得ているオブジェクトの消去や移動などの機能はなく、一般的なカメラと同じような編集機能を重視している印象だ。

「iPhone 15 Pro Max」のインカメラを使い、夜景をバックに撮影

前Proモデルを継承したスタンダードモデル

 コンパクトモデルと大画面モデルなど、複数のモデルをラインアップしてきたiPhoneは、2019年発表のiPhone 11シリーズから、ハードウェアの仕様が異なるスタンダードモデルとProモデルの2つのラインを展開してきた。

 iPhone 11シリーズではスタンダードモデルが「iPhone 11」の1機種のみだったが、iPhone 12シリーズ以降はスタンダードモデルも画面サイズの違いで、2モデルがラインアップされ、今回のiPhone 15シリーズでは「iPhone 15」と「iPhone 15 Plus」が販売されている。

 従来はカメラのスペックなどで、スタンダードモデルとProモデルの差別化を図っていたが、昨年からはProモデルに最新のチップセットを搭載し、スタンダードモデルは前年のProモデルをベースにしたものが展開されている。

 そのため、今年の「iPhone 15」は昨年の「iPhone 14 Pro」、「iPhone 15 Plus」は「iPhone 14 Pro Max」の仕様をベースに開発されている。ベースに開発されているとは言え、本体の外装やフレームなどは別物で、ディスプレイやチップセットの仕様を受け継ぐ形をとっている。

「iPhone 15 Plus」の左側面には切り替え式の着信/消音スイッチ、分割式の音量キー、ピンで取り出すタイプのSIMカードスロットが並ぶ。nanoSIMカードのほかに、eSIMにも対応
「iPhone 15 Plus」は右側面に電源ボタンを備える。カメラ部の突起は「iPhone 15」と同程度
「iPhone 15 Pro」の左側面には、新たに採用されたアクションボタン、分割式の音量キー、ピンで取り出すタイプのSIMカードスロットが並ぶ。SIMはnanoSIMカード/eSIMの両対応
「iPhone 15 Pro」の右側面は電源ボタンのみを備える。カメラ部の突起は実測で約3.8mm程度

 まず、ボディは従来モデルに引き続き、アルミフレームを採用する。従来モデルと比較して、幅は共に0.1mm増で、高さは「iPhone 15」が0.9mm増、「iPhone 15 Plus」が0.1mm増となっており、厚さはいずれも7.8mmで共通となっている。

 重量も1~2gしか差がない。Proモデルと違い、本体左側面は着信/消音スイッチと音量ボタンがレイアウトされ、基本的にサイズもほぼ変わらないため、筆者が利用してた従来モデルの市販品ケースは流用できたが、いずれもiPhone 15シリーズの方がわずかに大きいので、あまり無理に流用しない方が確実だ。

「iPhone 15」は左側面に従来モデルと同じように、着信/消音スイッチ、分割式音量キー、ピンで取り出すタイプのSIMカードスロットを備える。eSIMにも対応
「iPhone 15」の右側面には電源ボタンを備える。カメラ部の突起は実測で約3.5mm程度

 iPhone 15シリーズのスタンダードモデルが従来と大きく違うのは、背面の仕上げだ。昨年のiPhone 14シリーズのスタンダードモデルはカラーバリエーションが6色展開だったが、いずれも光沢仕上げだったため、カラーによってはややペタッとした色合いの仕上がりに見え、iPhoneらしからぬ、ややチープな印象だとする声も聞かれた。

「iPhone 15」の背面はインフューズドガラスによるマットな仕上がり

 これに対し、iPhone 15シリーズのスタンダードモデルは背面にカラーインフューズドガラスを採用することで、マットな仕上がりとなっている。カラーインフューズドガラスは金属イオンをガラス素材に注入して、製造する方法で、装飾品などに使われることが多い。カラーは5色展開で、ブラックを除くと、いずれも淡い色合いとなっている。

「iPhone 15」(左)と「iPhone 14」(右)の前面。ボディの幅や高さはほぼ同じで、壁紙を同じものに設定すると、ディスプレイ上部のノッチ(切り欠き)と楕円型パンチホール「Dynamic Island」の違いが目立たない

 iPhone 15シリーズのスタンダードモデルのもうひとつの進化点は、ディスプレイの上部に備えられた楕円型パンチホールを活かした「Dynamic Island」だろう。Dynamic IslandはiPhone 14シリーズのProモデルではじめて採用され、今回のiPhone 15シリーズのProモデルにも継承されているが、着信時をはじめ、音楽再生時にアルバムジャケットのサムネイル表示できるなど、機能に合わせ、表示エリアが動的に拡大したり、縮小する仕様となっている。

 デザイン的にやや歪な印象もあったノッチ(切り欠き)に比べ、ソフトウェアによって、うまく楕円型パンチホールの存在を意識させないように工夫されている。従来モデルを含め、6機種に展開されたことで、今後は多くのアプリでDynamic Islandの活用が期待される。

「iPhone 15」(左)と「iPhone 14」(右)のディスプレイ上部。従来のノッチ(切り欠き)に代わり、楕円型パンチホールのDynamic Islandが採用された

スタンダードモデル、カメラの実力は?

 カメラについては、従来モデル同様、メインカメラと超広角カメラのデュアルカメラという構成ながら、メインカメラのイメージセンサーは従来の1200万画素からProモデルと同クラスの4800万画素のイメージセンサーに変更され、Proモデルと同じように、ピクセルビニングを利用した撮影や24MP(2400万画素相当)での撮影などにも対応し、かなり内容が向上している。

 従来の「iPhone 14」も「iPhone 13」に比べ、ピクセルサイズの大きなイメージセンサーを採用し、レンズを明るいものに変更するなどの改良が図られていたが、今回のiPhone 15シリーズのスタンダードモデルの方が従来モデルからのジャンプアップの幅が大きく、暗いところでの撮影も一段と良くなった印象だ。

「iPhone 15」で夜景をバックにポートレートで撮影。モデル:()

 Proモデルのようなメインカメラでの焦点距離の変更はできないが、クリアでバランスのいい写真を撮ることができた。デジタルズームについてはライバル製品に比べ、やや物足りなさが残るものの、ポートレートなどは上位モデルに匹敵する仕上がりの写真が撮れる印象だ。

「iPhone 15」の超広角カメラで撮影。少し暗くなるが、拡がりのあるシーンが撮影できる

iPhone 15シリーズはどれを買う? 旧モデルもあり? それとも?

 さて、最後にiPhone 15シリーズの『買い』のポイントについて、チェックしてみよう。

 iPhone 15シリーズなら、どれを選ぶか、いつ頃の機種は買い換えるべきか、併売中の旧モデルを選ぶのもアリか、あるいは他の選択肢を検討するかなどを価格も考慮に加えながら、考えてみよう。

着実かつ幅広い進化

 まず、今回のiPhone 15シリーズは、かつてに比べると、大きなジャンプアップとは言えないものの、従来モデルから、さまざまな点で進化を遂げている。

 シリーズの4機種をひと通り見てみると、共通仕様ではUSB Type-C外部接続端子、Proモデルはフレーム変更による大幅な軽量化、スタンダードモデルはカメラの改良などがそれぞれのアドバンテージという印象だ。

 特に、Proモデルの軽量化はiPhone 14シリーズまでのヘビー級の重さが改善され、持ち歩きや取り扱いもしやすくなった。これまでProモデルに魅力を感じるものの、重量感で諦めていたり、本当は大画面にひかれているのに、少しでも軽くするために6.1インチディスプレイ搭載のProモデルを選んでいたようなユーザーは、ぜひ一度、iPhone 15シリーズのProモデル2機種を店頭で試していただきたい。

「Pro」はクリエイター/プロ向け傾向に

 ただ、Proモデルで気になるのは、進化の方向性がよりプロフェッショナル向けに傾いているという点だろう。

 今回はあまり多くを取り上げなかったが、Proモデルはカメラ周りの機能が進化しているものの、その多くはクリエイターやプロユースのカメラを強く意識したもので、コンシューマー(一般消費者)にどこまで必要なのかという疑問も残る。

 もちろん、カメラが高性能であることはユーザーとしてもうれしいが、スマートフォンはいつでもどこでもポケットやカバンから取り出し、すぐに気軽に撮影ができること、難しい知識がなくても十分なクオリティの写真や動画が撮れることが魅力だ。

 アップルはMacやiPadなど、他の製品群において、徐々にクリエイターやプロユースのニーズに応えられるように進化を遂げており、なかでも「スマートフォンのリソースを活かした大画面のモバイルデバイス」という位置付けだったiPadは、今やProモデルを中心に、キーボードを接続して、パソコンライクに使ったり、映像や写真編集などにも利用できるクリエイター向けツールへ進化しており、それに伴って、価格もコンシューマーが気軽に手を出せないほど、高騰している。

 ここ数年のiPhoneの進化ぶりを見ていると、iPhoneも同じ方向へ歩みを進めようとしている印象が強く、「上位モデルのProモデルを買っておけば……」といった選択もできなくなりつつある印象だ。

スタンダードモデル、より選びやすく

 これに対し、スタンダードモデルは前年のProモデルをベースに開発するという方向性により、少しでも価格上昇を抑えながら、選びやすいモデルへと進化を遂げている。

 特に、iPhone 15シリーズのスタンダードモデルはiPhone 14シリーズのProモデルから受け継いだDynamic Islandにより、外見も含め、上位モデルと変わらない仕上がりになるほか、カメラも4800万画素イメージセンサーの採用で、暗いところでも明るいところでも十分なクオリティの写真を誰でも手軽に撮れるように仕上げている。

 望遠カメラはProモデルにアドバンテージがあるが、家族や友だちを撮ったり、料理や街並みを撮るとった日常の風景を楽しみながら撮れる点は上位モデルと比べても遜色はない。

  なかでもポートレートモードは撮影後に被写界深度を変えて、ピントを調整するなどの編集機能も充実しており、『撮る』『編集する』『シェアする』の流れが十分に楽しめるはずだ。

買い替えるなら、いつ?

 次に、いつのiPhoneが換え時なのかという点については、iOS 17のサポートデバイスから外れていることを鑑みれば、2017年発売の「iPhone X」「iPhone 8」「iPhone 8 Plus」は素直に買い換え時と言えるだろう。

ただ、かつてと違い、アップルは最新バージョンよりも前のiOSに対してもセキュリティ上の問題があれば、アップデートを提供しているため、もう少し延命することは可能かもしれない。

 もし、噂通り、来春あたりに「iPhone SE(第3世代)」の後継機が出るのであれば、それを待つのも手ではある。

 ちなみに、iPhone 8の場合、アップルでの内蔵バッテリー交換は1万円超であるのに対し、中古品の買取価格は程度にも差があるものの、だいたい1万円前後以上の値が付くとされている。つまり、1万円を払って、何とか延命するか、値段の付く内に1万円で売却して、次の軍資金にするのかという状況にあるわけだ。

迷うのはiPhone Xs/11あたりか

 判断が分かれるのは、iPhone Xsシリーズ、iPhone 11シリーズあたりだろう。

 発売から4~5年が経過したものの、まだiOS 17でもサポートされているうえ、ゲームなどの重いアプリでなければ、とりあえず、普通に使うことができる。

 ただし、iPhone 11シリーズ以前のモデルは、いずれもネットワークの対応が4G LTEまでとなっているため、国内各社の5Gネットワークには接続できない。「5Gネットワークはまだエリアが狭いから……」という判断もあるが、本誌記事でも説明されているように、auとソフトバンクはエリアを拡げ、パフォーマンスも大きく向上させていることから、そろそろ乗り換えた方が得策という見方もできる。

 一方、2020年発売のiPhone 12シリーズから昨年発売のiPhone 14シリーズまでは、用途によって、差異があるものの、まだまだ十分に継続して、利用できる状況にある。

 ただ、本稿でも説明したように、ここ数年、Proモデルは着実に重量を増してきた中、今回の「iPhone 15 Pro」「iPhone 15 Pro Max」では20g前後の軽量化を果たしている。そのため、従来モデルの重さが気になっているユーザーは「重量級の旧モデル」を高く買い取ってもらい、新しいiPhone 15シリーズを軽快に楽しむという判断もアリだろう。

iPhone 15シリーズと旧モデル、どちらを買うか判断するなら

 この点を踏まえると、併売中の旧モデルを買うかどうかの判断も方向性が見えてきそうだ。

 スタンダードモデルは重量がそれほど変わらないため、カメラの性能差をあまり意識しなければ、価格次第で旧モデルを買うのも悪くはない。

 逆に、ProモデルはiPhone 15シリーズと20gの差があるため、十分な価格差(値引き)がないのなら、無理に手を出すのは避けたい。

 現在、総務省が端末購入補助を4万円に引き上げることを検討しているが、その施策が適用された段階で、もう一度、検討し直してもいいくらいだ。もっともそのタイミングで、旧機種も新機種も同じように値引かれるのであれば、あまりメリットはなさそうだが……。

携帯大手各社の「端末購入プログラム」はどう使う?

 各社が提供する端末購入サポートプログラムについても少し触れておきたい。

 端末購入サポートプログラムは36回や48回などの分割払いで端末購入し、2年などの一定期間、利用した後、端末を返却することで、24回目以降の残債を免除するという販売方法だ。自動車の販売方法として、すでに定番となっている残価設定ローンを応用した販売方法で、モバイル市場でも着実に支持を拡大している。

 こうした販売方法は、iPhoneのように高価な端末を購入するとき、端末代金を分割で支払えるうえ、実質負担額も抑えられるというメリットがある半面、端末の利用期間がある程度、決まってしまうというデメリットがある。

 回線契約とは別扱いになるため、MNPなどで携帯電話会社を変更することは可能だが、最低でも2年程度の端末代金の分割払いは求められる。

 今年はNTTドコモが1年後に買い換えられる「いつでもカエドキプログラム+」という新サービスをスタートさせ、毎年、買い換えるようなユーザーのニーズにも応えようとしているが、筆者が本誌の「みんなのケータイ」で「いつでもカエドキプログラム」の返却について取り上げたように、各携帯電話会社によって、端末の受け渡しの体制が不十分だったり、ユーザーに対する説明や案内が不親切なケースも散見されるなど、課題は多い。

 自動車よりは価格が安いかもしれないが、各携帯電話会社も端末価格が高騰する中、端末購入サポートプログラムに注力するのであれば、もっと消費者を積極的にサポートするような体制を望みたい。

アップルで利用できる「ペイディあと払いプラン」

 端末の返却がない分割払いに方法としては、アップルが「ペイディあと払いプランApple専用」を提供している。分割手数料が0%のうえ、36回払いを選んで、24回目に新しいiPhoneに買い換えられるオプションも用意しており、各携帯電話会社の端末購入サポートプログラムと比較したくなる内容となっている。

 ただ、この「分割金利0%」は支払いを自動引き落としか、銀行振込設定した場合に適用されるもので、コンビニエスストアでの決済を選ぶと、支払いごとに手数料が360円もかかってしまうため、注意が必要だ。ちなみにアップルではオリコとも分割金利0%のショッピングローンを提供しているので、そちらを比較対象に加えるのも手だ。

高付加価値/高価格なiPhone

 こうしたさまざまな工夫を駆使することによって、何とか一時的な負担を抑えながら、iPhone 15シリーズは購入することができるかもしれないが、ここ数年のiPhoneのレビュー記事などでも触れてきたように、背景にはアップルが『高付加価値&高価格路線』を突き進んでいることが挙げられる。

 「高くても買う!」というのであれば、それでもかまわないが、スマートフォンが生活や仕事に欠かせないものになってきたとは言え、全機種が12万円を超え、容量別でも10機種が15万円を超えるような価格設定の製品が本当に自分の用途に見合っているのかは、今一度、よく考えてみる必要がありそうだ。

 確かに、iPhoneは魅力的な商品であり、今年は為替レートが大きく変動するなど、価格高騰が予想される中、昨年のiPhone 14シリーズに比べ、スタンダードモデルで5000円増、Proモデルで1万円増に抑えられているが、iPhone 14シリーズもiPhone 13シリーズも十二分に高価格であったことも見逃せない。

 そう考えると、ここで一度、立ち止まり、他の製品に目を向けてみるのもアリかもしれない。

 背景に写り込んだ人物を簡単に消してみたり、折りたたみボディのメインカメラで自由にセルフィーを楽しんだり、デジタルカメラ並みの大型イメージセンサーで高品質な写真を撮ったり、寝坊しても数十分でフル充電ができたりするなど、便利で楽しい使い方ができる機種も数多く待ち構えている。

 ぜひ、店頭でライバル製品の実機もチェックしながら、iPhone 15シリーズのどれを選ぶか、ちょっと待ちなのか、旧モデルを選ぶのかをじっくりと悩んでいただきたい。

法林 岳之

1963年神奈川県出身。携帯電話・スマートフォンをはじめ、パソコン関連の解説記事や製品試用レポートなどを執筆。、、、「」、「」、「」、「」、「」、「」、「」、「」、「」(インプレス)など、著書も多数。ホームページは。で「法林岳之のケータイしようぜ!!」も配信中。